一緒

sumikko2005-03-06

世の中に背を向けるかのように眠った。それでもまだまだまだまだ眠い。寝ることに興味はない。よく寝たあとは快調だけど、様々な不調が伴わないならば、出来る限り眠りたくはない。起きて動いている方がいい。それなのに、眠い。不本意だ。

起きているわずかな時間で、二度目のアーキラボに行った。今回は4時間かけてじっくりみてまわった。現代に近づくに連れ、わからなくなる。意味を知りたくなる。
久しぶりに会う、かれこれ13年の付き合いの名古屋に住む親友と、まるで昨日別れたばかりのように食事をする。ワインを飲んで一晩中語り合うつもりだった。だけどすぐに寝てしまう。翌朝起きると、親友はすでに部屋を出た後だった。こんなに眠い理由は分かっている。血祭りの前の沈静。私の体は私の意思とは無関係に眠い。腹立たしいが怒りよりいらだちより、ただただ眠い。体が溶けそう。ようやく昼前に目覚めると、様々な着信があったことに気づいた。その中の重要なひとつにだけかけ直してみるけれど、繋がらない。
眠い。
親友は私のアパートの洗面所にポーチを忘れた。昼過ぎ、渋谷で落ち合ってランチをする。13年の付き合いにおいて元気な私の姿しか見てこなかった友人は、少し気を抜くと眠ってしまいそうな、隙だらけの私もなかなかだと褒めてくれる。
ブックファーストクッツェーの「エリザベス・コステロ」を買った。TSUTAYAカトリーヌ・ドヌーヴの「城の生活」を借りた。まだ早い夕方家に帰り、映画を観ながらうとうとする。その後、チェリビダッケチャイコフスキーを聴きながら、クッツェーを読んでいて、ふと、この前の恋人と別れたときも、そのもうひとつ前の恋人と別れたときも、偶然私はクッツェーを読んでいたことに気がついた。表紙の裏には少し首をかしげて物憂げそうにこちらを見つめる妙にハンサムな小説家。なにか私の呪いをかけているのでしょうか。いや、そんなに暇じゃないよね、クッツェー、と思う。
キース・ジャレットの「平均率クラヴィーア」は非常にさっぱりしていた。特に涙も誘わない。グレン・グールドのを流す。こっちでなら、泣ける。またうとうとする。もういい加減、うとうとな自分がいやになって、誰かと繋がりたい。でも気怠い。話したい人は一人だけ。電話をかけるが、繋がらない。もう人生全てがどうなってもいいと思った瞬間、メールが返ってきた。「寝てるから、また今度」。
その人も寝てる。
ならば私も、安心して寝よう。

エリザベス・コステロ

エリザベス・コステロ

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻