星空の下

芸術家にしろ思想家にしろ、付き合うのが大変なのではない。
自分の愛し方に自信を持ち続けるのが大変なのだ、というのが 26年の恋における結論。

惜しみなく、与えるのは簡単。
でも、私は女として、愛していたい。
女を求めない相手に対して、女として、愛し続けたい。

もしも私になにか愛される要素があるとしたら、たぶん私の凡庸さと、
決して私の求める愛の形で愛を返してくれない人に対してなお果てない期待、情熱。
棘の道。満たされることのない期待を抱き続ける。でも。
私の予想外の愛し方で、私を愛してくれる瞬間。
その一瞬に触れることができたとき、幸せだ、と思う。
いつもなにかを待っているように生きている私が、そのときだけは、まさにその瞬間を、生きることができる。
人生の中で唯一、私と時代がかみ合う。その、幸福。


日本橋島根館というものが日本橋にあり、島根の銘品か買えるのだけど、昨日はそこに行き、何となく日本酒をたくさん買ってみた。その後、久々にジャズが聴きたくなり、 JZbratに山下洋輔のライブを聴きに行く。やっぱりジャズはライブですねー。どんなジャンルの音楽も聴くけど私はジャズが一番好きだなーと思った。音楽が体に入り込んでいく、と思うのは、ジャズライブならではの感覚。
その後、コンビニでおでんを買って、公園で乾杯。今日買った日本酒をどんどんあける。見上げると星空。体は芯から冷え切ってるのに、朦朧。生きているんだか、生きていないんだか。不幸せは感じない。ほぼ意識なく帰宅し、シャワーを浴びていたらそのまま寝てしまい、安全弁が働いて停止したガス装置により冷水を放出し始めたシャワーで目覚めた。震えながら飲み過ぎで割れそうな頭と吐き気を抱えて、明け方のアパートの廊下でガスの安全弁のスイッチを押す。ガスの生き返る音がする。3分待つ。再びお湯がでる。温かいシャワーに、心底安堵する。ものすごく滑稽だと思う。滑稽だと思うけど、きっとこんな風に、私の人生は過ぎていくのだろう。それはとくに心躍らないけど、こんなちょっとしたハプニングの連続も、飽きなくていいかもなと思う。