痛みとか

会社のエントランスのイルミネーションはいよいよ激しく輝いて、たぶんラブホと勘違いしてやってくる恋人たちが続出すると思う。あれ?行き止まりっすかみたいな。
今一緒にお仕事をさせて頂いている先輩編集者(推定31歳、お姉様系、美人、親切、感じ良い、素敵)は男なんてよりどりみどりっぽいのに、今日私が取材に行った先の店長(推定35歳、色白、ぽっちゃり型、飲食店経営、意外にアグレッシブだけどカメラを向けたときは人の良さそうな笑顔、おそらく彼女いない歴35年)の写真を見てクリティカルヒット。原稿があがったら「私が確認の原稿を持参する」と言う。担当でもないのに。彼女にかぎらず、男の見た目にこだわらない女は結構多い。私は私よりいい女以外とは付き合わないというむちゃくちゃ高慢な女なのだが、その友達はほぼすべて、男は見た目ではなく、優しさや包容力や安らぎだと言う。エセいい女(美人だけど中身は水のはいらない水筒みたいな)はいまだに80年代の末裔かといいたくなるような学歴収入身長重視系だが(その割に取捨選択を重ね選ばれた男を見ると小物、いやそれ故にというべきか)、今の時代にマッチした仕事ができて健康的で優しくて真面目で機転も利いてしかも美人な女に殊更にそういう傾向がある。地球に優しい。ああ、男もそうならいいのに、と思う。私は文句なくかっこいい男が好き。見た目最重視。顔が良いのはもちろんのこと、肩が美しくて、気が利いていていながらも自然で、お洒落で、食べ方がきれいで、エンターテイメント性がある人がいい。話もキスも上手い人がいい。一緒にいてどきどきするのがいい。ジェットコースターみたいなのがいい。身分不相応の高望み。だから、どうしてあんないい男があんないけてない女が好きなわけ?という世の中だとうまくいくのになー。あーあ。
なにもかも不確かな私が唯一信用しているのは自分の嗅覚。匂いだけは、紛れない。だけど、ほぼその匂いに包まれていたこの冬を想い出すとき、私は何を想い出すんだろう。その匂いに繋がる過去?だがまて。そこまで私はバカ女なのか。今と過去の区別がつかないほど?いや、この匂いが今の匂いなことは知っている。
つまり、私には終わった恋なんて全くないことに気が付いた。全力の恋は、今でも連綿と恋。いわば文字の恋。細胞には結びつかない。でも恋。かつてより純粋な恋。だから増えていくだけなんですね。痛みとか。そうね、痛みとか。痛みとか。