大人の食べ物

「小津好き」てちょっとしつこいから「おずき」でいいと思う。
本日はちょっと足を伸ばして浅草のおでんや「大多福」へ。今日はひさしぶりに寒くて、おでん日和。店に入った途端、おでんの匂いに包まれる。カウンターの奥には以外に広い座敷が広がっている。黒光りする木の天井、白熱光のもと、みんなが美味しそうに食べている。下町といった風情だなあ。おでん以外にも牛すじとか、ふぐの揚げたのとか食べた。美味しかった。楽しかった。
おでんは大人の食べ物だと思う。人生でただ一度、家族と過ごさなかったお正月、東京の元旦はなんと穏やかで空気が澄んでいるのかしら、と思った。実家の正月はたいてい曇天で、厚い雲の間からつかの間陽が差し込む風景は幻想的でいつも見とれてはいたけれど、東京の元旦の透明な美しさに色彩を欠いた街並みに、体がバラバラになるような気がした。苦しいくらい清浄だと思った。たぶん私には湿度が低すぎたんだと思う。昼過ぎに散歩に出かけてスーパーで、おせちのセットを買ってきて、正月気分を味わった。そのとき、その人はかずのこを好んで食べていて、わーおとなあと思った。かずのこが好きって。私は、かまぼこと栗きんとんと黒豆が好き。こども。そろそろ、その「おとな」の年に近づきつつある。大人らしくあるために、私は何を食べたらいいのかしら、と思う。
今聴いている音楽。

おとなーと思うピアニスト。どきどきはしないけど、安心する。