アイスクリームに胸焼けが

sumikko2004-11-21

こんばんは。雨ですね。さっきシャワーを浴びてたら雨の匂いがした。シャワーを浴びてるからかしら、て思ってたけど、浴室から出たら本当にふっていた。昼間の晴天を謳歌したあと、夜になったら雨ふりだなんて、なんて幸せなんでしょう。

今聴いている音楽はこれ。

Interplay

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昨日はひどいカクテルを飲んだ。「身体の細胞が弾けるくだい酸っぱいものが飲みたい」と訴える私に差し出されたのは、淡黄色の液体と大きな氷が一個入ったオールド・ファッションドグラス。一口含んで、火花が散る。何これ!レシピは明快。絞ったばかりのレモン汁2個分と角砂糖1つ。オールド・ラジェというアルコール度数の高いジンを1ショット。あまりに酸っぱいからアルコールの高さが分からない。その刺激は理性を破壊して、なぜかもう一杯。ずるいわ。これはカクテルじゃない、ドラッグ。チャリで深夜の茶沢通りを走り抜ける。小春日和のような一日も、深夜になれば11月も後半だと主張する。冷たい空気が襟から袖に抜ける。目尻に涙がたまる。生理的な現象として。商店街の街灯の残像が煌めいて、チャリで飲みに出かける魅力に気づく。

それにしても、世の中の男の人って、意外にも結婚願望が強くあるのだと知り驚く。ここのところ話した未婚の20代半ばから30代の男。揃いもそろって「そろそろ腰を落ち着けたいよ、共に歩んでいく人が欲しいよ」。あー!もう!!そういうセリフは軽々しく口にするもんじゃない。ここいちばんというときに、彼女だけに言ってくれ。私は基本的に男は、愛する女の子がいても逃げ回って自分の夢につき進んだりときには別の女の子を追いかけてみたりして、いつも結婚とか束縛から逃げ回っていなくてはならないと思っている保守的な女なので、そういう「家庭的な」男性といると居心地が悪い。むず痒い。じゃあ男の子が、夢に突き進んだり他の女の子と遊んだりしている間、女の子は何をしていればいいかというと、自分の夢を追いかけたり他の男の子と遊べばいいんです。遊ぶ男の子には相手が必要なんだから。ただし男の方が嫉妬深いからばれないようにしないといけない。男の子と遊ぶのはもちろんばれちゃいけないけど、夢でさえ男の子には嫉妬の対象らしく、やっぱりあなたが一番なんだけどね、ていう光線をばりばりだしておかなくちゃだめみたい。本当に面倒くさいね。男の人って。いやあね。

今日はとても暖かかった。薄い長袖一枚にトレンチを羽織って、昼過ぎに丘を下って図書館に行く。図書館で本を数冊とCDを数枚借り、丘の下の商店街でパンとコーヒーを買う。引き返して丘の公園のベンチで本を読みながらランチ。透明な空気。葉を落とした木々。本当に美しい丘。私は世界のすべての丘でこの丘が一番好きだと思う。ふたつ向こうのベンチでおばあさんがお弁当を食べている。時折足をぷらぷらさせるのは、鳩を追い払うためだったのか。真っ白な50デニールくらいのタイツと赤いショートブーツの小さな足がぱたぱたとベンチで揺れる様子はなんとなく少女と重なる。カートを押したおばあさんがもう一人現れる。目の前を通り過ぎると、おばあさんの匂いがする。ふたりのおばあさんは並んで座る。知り合いなのか、そうじゃないのか、ちらりと二人の間合いをみただけでは測りかねる。日曜の昼下がりにおばあさんが二人、同じ丘の同じベンチに居合わせただけで連帯感が生まれるものなのかな。おそらく、20代後半らしき女性がこのベンチに座っても、私は話しかけないと思う。
このベンチは、覚えている。あれは初夏の午後。二人で丘を下り、一人で丘を上る。青い草の匂い。虫の声。丘全体があまりにも濃密で、押しつぶされそうで、耐えきれなくなってそこに座り込んだ。幸福なのか不幸なのか、わからなかった。ただ、苦しかった。違いを認めなくてはならないこと。今だけを、愛さなくてはならないこと。そんな残酷なことがあるかしら?だけど、満ち足りていた。これ以上の完璧は、ないことも知っていた。だから激しく嗚咽した。それしか私にできることはなかった。刻みつけられた身体の痛みを味わい尽くすしか。
空を見上げると冬枯れの木立の上の薄い青空にはかなりたかいところに筋状の雲が浮かんでいて、あれはなんだっけっかな、そうだ巻積雲だ。氷の粒でできる雲。様々な雲の中でも最も高いところにできる雲。さすがに体が冷えたことに気づく。午後は渋谷で約束があった。CD屋で待ち合わせていくつかCDを見て、その後洋服を見たり雑貨をみたりして、ハーゲンダッツカフェに行く。好きな7種類のアイスクリームが盛られたパフェと2杯のドリンクが付くビッグラブセットを食べたいと主張してみよう。いったん荷物を置きに家に戻らねば。そして気づいた。二人で丘を下ったことはあったけど、二人で上ったことはなかった。私の叶えられなかった夢は、二人で丘を昇ることだったのだ、と。