無駄なおしゃべりを、止めて。

sumikko2004-09-09

行く直前はものすごく憂鬱で泣いたりしていたディズニーランドだったが、イクスピアリでぶらぶらしているうちに気分は否応なく盛り上がってくる。化粧室に入り必要最小限のメイクをしてアクセサリーをつけ直す。どうして進んで無防備にならなくちゃいけないの。改札で待ちあわせ。新しいスニーカーを褒めてくれたのでご機嫌。7時半からのバレードを見る。きゃあ!ミニーちゃん!あ!!ミッキーだ!ミッキー!!!ドナルドドナルド!!あ!みてみて白雪姫と7人の小人!女の子のおしゃべりは意味がないと言うけれどここで意味があることを言うのは無理。ビッグサンダーマウンテンとスペースマウンテンに乗れれば私は満足で、後はぶらぶらしながら目についたものに乗る。メリーゴーランド、ダンボ、ティーカップ。最初の頃はぺらぺらと一人でしゃべりまくっている私だけど、だんだんとその意味のなさにむなしくなって言葉も少なくなる。「君の話は聴きたくない」と言われたい。懐かしい。疲れたの?と不安気に尋ねてくれると、逆にいらいらしてくる。たぶん自分に。女の子はおしゃべりだと言うけれど、話さなくてもいいのならその方がずっといいよ。でも、女の子が話す以外にすることがあるのかな。と言ってもそんなネガティブな感情はもちろん私の内部で密かに進行していただけで、結構はしゃいでいた。みつ目の気持ち悪いキャラクターの(トイストーリーに出てくるやつ)頭にかぶるやつを連れに必死に買うように促したが結局買ってくれずちょっと残念だった。小腹も空くが、閉園だしこんな地の果てで食事をしても家に帰るのが大変。渋谷まで帰りワインバーらしきところに行く。まあまあ美味しいワインとアンチョビのピザを食べる。一刻も早く帰って本の続きの話が訊きたい。このところ、何をしていても心ここにあらず、ということが多い。失業中で特にやることもなくなんのストレスもなく、ぼけぼけ生きてきてるから集中力がなくなってきてるのかも。
木曜日は結構早く起きてしまう。NHKの朝の連ドラを久しぶりに見たら竜之介さんが天花に携帯をプレゼントしていた。月々の使用代金ってどこから落ちるんだろ。超迷惑な贈り物だと思った。天気は良好、というか暑いよ。午後1時、実家から送られてきた梨を持ってチャリに乗って親族の家にでかける。もちろん不在なので玄関のドアに梨とCDとカードの入った袋をかける。ちょっとサンタさんみたい。それにしてもチャリは楽しい。駅から駅へ、商店街を抜ける。午後の光の中、団地の入り口で穏やかに過ごす。帰宅中の中学生が通り過ぎる。こんな生活ももう少しで終わり。仕事を辞めた日から私の時は止まっている。すべてが夢の中にいるみたいで、この3週間は、人生の中でものすごく浮いている。3週間はあっという間だったし、でも3週間前は遠く遠くのことのよう。仕事再開が楽しみでもあるし、この休暇が終わるのも名残惜しい。そんな、満ちたりた時間を過ごす。その満ち足り度は80%くらいで、100%よりも完璧なものだと思う。和やかにいったん別れるけど、その後雲行きが怪しくなってきて、私にだけ、落雷の後に大雨強風が吹き荒れる。こういう天候不順はもうまっぴらだと思う。いよいよ、最後にしようと思う。今日は世界で一番のバカ女になろうと思う。プライドも何もかも捨てて、堕ちるところまで堕ちればいい。相手が憎めないならば自分を憎めばいい。そしてハリケーンと会う。たぶん私は新宿のタワレコでもっとも多く涙を我慢した女と思う。だけど結局私は世界で一番のバカ女を演じきれない。その後神楽坂に行く。やがて小雨がぱらついて、坂の多い街の夕暮れに、小雨はとても良い。睫毛に小さな水滴がついてしばらく視界が輝く。今日は様々な事態を想定して、ウォータープルーフのマスカラにして良かった。このウォータープルーフのマスカラは、伸びとか発色がイマイチなのだけど、さすがに水には強い。極限において自分の冷静な選択にちょっと感嘆する。その後食事をする。松茸の土瓶蒸しが美味しかった。松茸の土瓶蒸しって一口ごとに美味しくなっていく食べ物。他にあまりないと思う。私は心からリラックスしている自分に驚く。帰り道、終電が終わっていた。一駅歩く。そしてバカを演じきれなかったのは、演じきるまでもなく、私は正真正銘のバカだからだということに、改めて気がつく。