一人で見るにはあまりにも美しい夕暮れ

sumikko2004-08-29

今日の夕食は銀座や日本橋にも支店をもつ料亭で。早めの時間帯に行ったため予約なしだったのだけど日本で二番目に大きな汽水湖を見渡せる窓際の席に案内される。鯛めしという食べ物が有名なので、それがしめにでてくる会席をいただく。お魚がおいしい。マグロは皮付きのままちょっとだけ炙ってあり香ばしい。ヒラメは身が固くしまっている。鰻の吸い物にはゴボウと百合根が入っていて、百合根というのは食感がとても楽しい。私の大好きなもずくもコシがありさすがに上物だなと思ったのだけどコシがありすぎでなかなかかみ切れず、醜い結果になる。これはデートのときには食べまいと思った。ところで、私はエビを食べると必ず口の中を怪我する。エビというのは、触覚だの殻だの結構ひっかかるものが多い。しかもそのままばりばり食べてくださいというものが多くて、私は世の中の人はどうして平気であれを食べれるのだろうかと不思議に思う。そんな感じでしめの鯛めしの頃にはかなりおなかいっぱいです。
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鯛めしというのは、江戸文化文政のころ松江藩七代領主松平不昧公が愛した「汁かけご飯」に由来すると言われ、丸皿に盛られた鯛のそぼろ、玉子の白身と黄身、おろし大根、海苔、わさびを温かいご飯の上にもって、特製のだしをたっぷり注いでお茶漬けのようにして食べるもの。これが非常においしい。和むー。結局私は日本人だなあ、とこういうとき思う。フレンチもイタリアンも大好きだけど、こんなシンプルなお茶漬けはくつろいでおいしい。
早くから食べ始めたので、店を後にしてもまだ明るい。東京より30分くらい日が暮れるのが遅い。今日は台風の影響か、空が怪しい。嵐の前の静けさというのか、微動だにしない薄雲に、沈んだ太陽の光が反射して、あまりにも美しい。今すぐこの美しさを伝えたいと思うけど、思いとどまる。きっと伝わらないし、伝えることに何の意味があるだろう。でもそれなら、どうして美しいものがあるのだろう。そして眠くなる。今日は一日中寝ていた。睡眠に食べられそうだ。核シェルターの中にいる私は、だんだんと感情が消えていく。おお、すぐ背後でリリリリと鈴虫の声。あ、部屋の中にいるのね。ちょっと逃がしてあげることにします。