幸せはここに。

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夕食は「いと賀」という日本料理の店へ。我が市唯一ともいえる歓楽街にあり、外からはそう趣を感じさせるわけではないのだけど、数寄屋門をくぐると意外にゆったりとした石畳のエントランスがあり、その奥にカウンターがある。本日はおまかせのコース。目にも美しいお料理の数々が並びます。まず感動したのは鰻と酢の物のお通し(写真左下)。意外な組み合わせなのだけど鰻の甘辛さと酢のさっぱりが絶妙で、こういう組み合わせはさすが。その奥はウニののった胡麻豆腐。じゅんさいの食感も楽しくて、これは日本酒が進む。その後はハモと冬瓜お椀。お品書きには一言も触れてなかったのだけど蓋を開けるとふわあって松茸の香り。松茸自身もふんだんに入っていて、両親は先週よりも時期が良くなったので香りがいいね、と言っていた(毎週来ているのですかあなたがたは)。今日の大ヒットは初物のイクラ。今朝初めてセリにでたものを仕入れみりんと醤油でつけたもの。驚くほどの甘さです。初物なので身は小ぶり。特にぷちっという歯ごたえがあるわけではないのだけど(別に私はあの歯ごたえにそこまでこだわらないのだけど)、とにかく甘くて濃厚。結構量を飲む私たち家族は大吟醸ではなく、純米吟醸をぬる燗でいただく。これは、生ものを食べているときには落ち着きます。ぜひ寿司屋にいったら純米吟醸をぬる燗でやってみてください。お食事もお酒も本当においしく感じる。ほっとする。私の母がぜひとも食べてほしかったと大絶賛していた鯨の煮物は、初めて出会う味でした。
left鯨の脂身を一度脂抜きし、再びじっくり煮含ませる。とろりとしただしは黒糖を感じさせるほのかな甘さ。里芋や冬瓜、茄子は歯ごたえを保ちつつ十分に味がなじんで、一口かむごとに旨みが口いっぱいに広がる。その後、焼き物と松茸ご飯でしめる。デザートは白桃のシャーベットと無花果のシロップ煮。ああ、おいしかった。いくらだったかは訊かないことにする。そして、両親は食べるのが超早い。いつもたらたら食べてしまって相手に遅れをとる私ですが、デートのときは相手も気を遣って待ってくれたりするのだけど、さすが両親はマイペースを保つ。と、いうか、当然彼らのペースになる。わたしがひとりでぺちゃくちゃしゃべっているとどんどんおいて行かれるので必死で食べた。結構疲れた。胃にもたれるー。タクシーで帰っても狭い街なんで1000円ほど。途中日本で2番目に大きい汽水湖と海をつなぐ川をまたぐ橋を渡る。オレンジの街灯がきらきらしてとても美しい。本当に幸せな夕食でした。失業して実家に帰ってこんなに歓待してもらえるなら、数年毎に失業したいな。きゃあ両親に殺される!