sumikko2004-06-07

この週末はなんだか時間感覚がおかしかった。
昨日、 朝 7時過ぎにようやく眠りに落ちた私は 12時前の電話で起こされる。電話で睡眠を阻害されるよう呪われているのかもと思いながら着信の名前を見た途端、今日がフェレットデートの日であることを思い出した。すっかり忘れていた。自分がちょっと信じられない。初めてだ。こんな風に約束を忘れてしまうなんて。今日は一日一人でゆっくりと過ごしたい気分だったのでなにか理由をつけて断ろうか迷っているうちに留守番電話になってしまったが、やっぱり約束は約束だ。電話をして待ち合わせ時間を遅くしてもらい出かける。雨だ雨。蒸し暑いな。雨は好きだけど、雨は一人用だと思った。やあやあ久しぶりと駅で出会い生まれて初めて乗る私鉄に乗って着いたのは下町風情あふれる駅。ここからフェレワ( いたちさんに教わりました)まではちょっと歩く。雨の線路沿いをてくてくてくてくてくてく。フェレワは小さな店なのですが、常にお客さんが 6人くらいいて、フェレットを鑑賞したり抱いたりしていた。私も初めてフェレットを抱いてみました。予想よりずっとかわいかった。細長いんで抱き方がイメージできなかったのですが、実際に抱いてみるとなるほどねと言った感じ。うずくまって眠る子フェレットの中に一匹私の心を捉えて放さない子がいた。毛の色は薄いブラウンとホワイト。足だけは真っ白な靴下をはいたみたいに純白で、なにか異質な気配を感じたときにきゅっと力が入るほんのりピンクの手はいつまでみていても飽きない(うそ。やっぱ 5分くらいで飽きた)。黒目がちな(あ、印象がね)やや離れ気味の気弱そうな瞳。額の中央に、ぽつりとサーモンピンクのシミがあって、それがこの子の全性格を表している気がした。あ、私、シミフェチでもあります。以前白猫を飼っていたのですが、その子も額の中央にグレーのシミがあった。全身真っ白なのに、そこだけぽつんと。その子のお母さんは血統書付きのチンチラペルシャだったんですが自由奔放な家庭に生まれ育ったため恋愛も自由で、春が来て身ごもり、お父さんは誰だという議論(というほどでもないが)が持ち上がったとき、私はこのあたりを徘徊している真っ黒の野良だと主張していたのだけど、そのシミがその証のようでちょっとほのぼのした。何匹かいた子猫のうち、その額のシミがどうしても気になって、その子をもらうことにした。ということで、そのシミ付きの気弱そうなフェレットを抱き上げると、じゃれているのか敵意なのか、指を噛むのだけどその噛み方がウサギのように本格的じゃなくて甘噛といった感じでちょっと癖になりそう。
しかし、つくづく感じたのだけど、ペットに対して、「興味あり」「まあまあ興味あり」「興味なし」でヒトを分類すると、「興味あり」と「まあまあ興味あり」の溝の深さに驚きます。「まあまあ興味あり」と「興味なし」の方が圧倒的に近い。「まあまあ興味あり」の私は「興味あり」人種が提案したフェレットデートをかなり甘くみていて、なんだかものすごい異世界に迷い込んだ気がした。その後、昆虫ショップと爬虫類ショップに付き合って、私の精気は完全に奪われた。雨の商店街を散歩するのはとても魅力的で、私は幾度となく一人でこういう昼下がりに散歩して一緒に歩いてくれる人の存在を夢見たけど、私が夢見ていたのは、一緒に歩いてくれる人の存在を夢見る事で本当に隣を歩いていてほしい訳じゃない事が分かった。いや、違うな。本当に一緒に歩いてほしい人はいるけど、それに代替できるものはないということが改めて分かった。良い経験だった。やっぱりその後何を食べて良いか分からず、お茶だけで帰る事にする。その後なにを食べて良いかわからない、というのはナイーブすぎる気もするけど、こういう気持ちが分かってくれる人じゃないと、結局うまくいかないと思う。その後、私はものすごい失敗をする。基本的に楽しいデートだったのだけど(いや嘘じゃないです。相手はとても良い人だったし終始リラックスした和やかなムードだったよ)だけど私は一刻も早く一人になりたくて、喫茶店をでたときに相手は JR線で帰るというので、「じゃあ私靴下買いに行っても良い?」と言った。別に私は靴下なんか買う気はなかったんだけど、本や CDだと一緒に見てもよさそうなものだし、だからといって下着というのはそう親しくない間柄であまりにもかなと思ったし、靴下って微妙にプライベートなもので良い選択だと思った。でもなんと彼は「良いよ、どこに買いにいくの?」と言って付き合ってくれようとする。たぶん今日一日自分の趣味に付き合ってくれたから、という思いからなんだろうけど、私はものすごく驚いて「え。いやいいよ。靴下だよ?」。彼は「もしかして、付き合ってほしくないって感じ?」。私、「どちらかというと」。
「どちらかというと」てちょっとないですよね。だったら「靴下選びには付き合って欲しくないよ」と言えば良かった。彼は「そっか。じゃあ今日は付き合ってくれてありがとうね」と言って笑顔で帰って行き、私はちょっとした後悔と一人になれた安堵でまだ夕暮れの新宿でウィンドウショッピングなんかしてみたりした。
結局、楽しいデートというのは 2つしかなくて、相手のことがすごく好きで一緒にいられるだけで幸せという状態か、前提が男と女であってさらにお互いに愛情が全くない状態しかないなと思った。で、付き合いたいと思うなら、こういう様々な倦怠を乗り越えていくべきなのかもしれないけど、私が求めていたのはその2つのどちらでも良いんだけどただ単に楽しいデートだったということが分かった。私はまだまだ未熟ですね。
帰り道にまた古本屋によって漫画を買う。高橋留美子の「人魚シリーズ」最高。パイナップルセージのお風呂に入りながら 2巻とも読んでしまった。本当に素晴らしい。その後友達のくれたジャズのアルバムを聴きながら小倉冬美の「ローズガーデン」と「ビーマイベイビー」を読む。小倉冬美の漫画にでてくる女の子が好きです。ふっくらしていてかわいい。そんなこんなで 11時過ぎにはうとうとし始める。
たぶんきれいな傘を持っていないから、雨の日のデートが億劫なんだろうと思う。持ってるだけで幸せな傘を手に入れれば、きっと雨の日のデートも楽しいんじゃないかな、と思う。