一か八か

sumikko2004-11-30

その人が言うには、私の声が心地良い、と。それは私を充分に納得させる。なるほどね。私の洋服やアクセサリーの趣味、ふるまい、考え方ではなくて、声か。声は人を特徴づける最も大きな要素だと思う。生まれ持った資質。努力によって変わることの少ないものの一つ。気に入られ方としては、これ以上のものはない。満足に思う。でも、なんて脆いの、とも思う。それは胎内のような心地よさ。やがて空気と変わらなくなる。もしくは春の午後の風のようにふと思い返して、ふんわりとした気分になればいいというような。蝋燭とたくさんの食料と水と毛布をリュックに詰め込んで、「さあ今まで歩んできたお互いの人生を語り合おう」。ひどく鬱陶しいけど、もしかしたら私はそんな風に言われたいのかもしれない。かくいう私は、声以上に純粋な条件を課しているとも思う。「運命的」に出会った人とリュックを担いで洞窟に行きたい。そうでなければ洞窟で息詰まって死んでしまうもの。たぶん私は双子のうちクールな方に対して恋らしきものを感じた7歳の私からなんら変わらない。あれから19年もたって、何も学ばなかったのかと思う。唯一分かったことといえば、私の「運命の人」はおしなべてインドア系であり、洞窟なんか絶対に行かないこと。例外はないということ。


今日私は一大決心をした。
借金のない女になる。
今年のクリスマスはないことにしたのだが、クリスマスコフレとクリスマスジュエリーの存在だけはあることにしていた。しかしここはちょっと我慢して「後からリボ」とか「ボーナス一括」とかをがんばって返しちゃうつもり。何が良くないって私の小物ぶりを象徴するように借金の額も微妙なのが良くない。なんだかけちくさい。だから私はいつまでたっても冴えないんだと思う。今年中に精算して来年からは潔くいきたい。とはいえ、微妙な借金が喜び度を増幅させるという事実は捨てがたい。あーあ、また買っちゃった。でも欲しかったんだもん。買えないけど買ってしまった。あたしったらダメ女ねっていう。でもだめだ。もう26歳なんだからこういうキュートさは滑稽なだけ。もし借金をするなら、マリー・アントワネットみたいに国ひとつ揺るがすぐらいの額にするか、負債なしのクリアな身になるか、どっちかだ。山手線一駅分ほど考えて、当面は後者でいこうと思う。
と、決心したものの、来月発売になるランコムのリュクスシャインアイコフレとほぼ買うつもりだったageteのゴールドのピアスのことを思うと涙が止まらない。こんなに辛い思いをしてまでいい女になる必要があるのだろうかと思った。そしてこんなことで本当にいい女になれるのだろうかと思った。いろいろ分からなくなって、その後夜ごはんのメニューについて近所のスーパーで12分近く悩んでしまった。おぼろ豆腐とひじきのサラダは決まったのだけどメインが決まらない。さんまの塩焼きか、茹で薩摩豚のサラダか、焼き鳥か。何が、何が食べたいの私。必死で心を探る。結局豚足にする。アルミパウチに入ったやつで湯煎で温めて酢みそで食べるんだよ。私は酢醤油の方が好きだけどね。なんだか変な夜ごはんになってしまったけど、コラーゲンは肌に良い。明日の朝、目覚めたら肌とかぷるぷるになっているといいなあ。
今聴いている音楽

ヴェデルニコフの芸術(9)

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