それを実際にやっちゃうのが私なのよ。

sumikko2004-11-16

男はだいたいにおいて女よりロマンチストだと言う。
でも私はたぶんそんじょそこらの自称ロマンチスト男よりも遙かにロマンチステスト(最上級)。
例えば、恋人との最後のデートには、真っ白な箱を用意する。ハートの形の赤い風船をひとつ。風船の中には恋人にもらった指輪を入れてヘリウムを満たし、箱に閉じこめる。箱には天女が忘れたようなきれいなリボンを。そして恋人に渡す。
「これ、私と別れたら10分後に開けてね」。
公園のベンチで、かつての恋人はリボンをほどき、蓋を開ける。小さなハートの風船が舞い上がる。空へを目指して。高く、高く。
豆腐ハンバーグとひじきごはんの手製のお弁当を食べながら、こんな空想を弄ぶ26歳。精神的に問題ありとハンをつかれる日も近い。

帰り道、東急ハンズに立ち寄る。ハートの赤い小さな風船は8ケ入り248円。ヘリウム880円。意外と低予算で実行できることを知る。惜しいのは指輪ね。この際、フェイクでいいかしら。

今日はいつの間にか雨があがっていた。午前中は水槽の底に沈んだようなオフィスだったのに。席をたったときにふと窓から見上げると、空はすでに青くなっていて、今日は雨だと信じ込んでいた私の感覚を狂わせる。会社の中庭には薔薇の木がある。透けるような黄色の大輪の花がうつむいている。葉の上に散らばる水滴は陽の光を浴びて銀色に輝く。どういう作用なのか、薔薇の葉の上でだけは、水滴が宝石のようになる。キラキラ輝いて硬質な石のように転がる。薔薇の魔法。他の葉では決してあんな風にならない。不思議ね、不思議ね。


夏場なら、その日の湿度とか気温とかから、「不快指数」っていう言葉を聞くけれど、なんとなく後ろむきでいやだわ。「不快指数 100」より「快適指数 0」の方が気持ちいい。この冬、私は毎日の天候の具合を、「トレンチコート指数」で表そうと思う。つまり、私の愛しいグレーのトレンチコートにいかにマッチする日かということ。
今日はコートの下にブラウスと薄手のニットを着てちょうど良かった。トレンチの下でごわごわしないし、まさにトレンチにぴったりの気温。でも朝は結構雨が降っていて、撥水性があるとはいえ大切なトレンチが濡れてしまった。トレンチに合わせて買った深い光沢のある茶色のブーツも雨だからはけない。だから今日のトレンチ指数は 69。
今聴いている音楽。

Six Pieces of Silver

Six Pieces of Silver

4曲目。ENCHANTMENTが良いです。酔います。