sumikko2004-06-09

このところなんだかやりきれない気持ちが続いている。
直接の原因は私の睡眠を食べている怪獣のせいなのだけど、それとは関係なく、毎年6月というのはなんとなく一人でいたいと思う季節みたい。どんな占いをみても今月は恋愛運が絶好調で、私の「身も心も焦がす運命の人に出会える可能性が大」らしい。そして引き続きいろいろとお誘いいただけるのだけど残念ながら私が全くその気になれない。本当にもったいない。
昨日は今期最後の入稿が終わった。まあ明日には色稿がでてきてちょっと忙しくなるけどこれで肩の荷がおりた。6時半定時きっかりに会社をでると、気温はぐっと下がっていて麻のジャケットを持っていてよかったと思った。まだ明るくてこのまま帰る気にはならず、なんとなく海がみたくなったので、久しぶりに竹芝桟橋に行く事にした。有楽町にでて山手線に乗り換え、浜松町で降りる。ゆりかもめ竹芝駅が最寄りなんだけど、浜松町の駅からあの無機質な街を歩くところがポイントです。近未来っぽいけど古びていていい感じです。
昨日の竹芝桟橋は平日だし強風だし、たまに雨がぱらつくし、最悪な条件だったので人影は皆無だった。でも相変わらずレインボーブリッジは明るい。さざ波立つ湾にディナークルーズ船らしきものが浮かんでいて、あれに乗って食事を楽しんでいるカップルのことをぼんやりと思う。クルージングデートはちょっと楽しそうだけど、私が好きになりそうなタイプの人は絶対にああいうクルーズ船には誘ってくれないだろう。私もわざわざあれに乗るために自腹をきりたいとは思わないから、万が一乗るときは誰かに誘われて乗るんだろうけど、あのクルーズに誘ってくれるような人種にそもそも全く興味を抱かないだろうから、たとえ何かの拍子に一緒に乗る事になっても、ディナーの間中私はこれが本当に好きな相手とだったらと思い、そしてそれは永久にあり得ないことも承知しているわけで、それはたいそうせつないクルージングになるだろうなあ、と思った。
夜景は純粋にきれいだと思う。意外にも見飽きない。カメラを忘れたことだけが悔まれた。
その後食事をしようかなと思いつつ、インターコンチネンタルの中をぷらぷらしていたらサンセットラウンジで「トロピカルサマー」というキャンペーンをやっていて、2079円で10種類のトロピカルカクテルとビールとワインが飲み放題らしい。こういう寒い夜にひとりトロピカルカクテルも悪くないなと思う。店内はガラガラでレインボーブリッジが目前の窓際の席に案内される。シンガポールスリング、チチ、フローズンマリガリータなど10種類のしあわせそうなカクテルが並んでいる。マイタイをもらう。おお、ワイキキ。18歳の春を思い出すわ。子供のころからの夢だった。マイタイバーでマイタイを頼んだ瞬間のこと。そんなことをつらつらと思い出しながら、2杯目にチチを飲んだらもっさりとした味で気分が悪くなったので、後は赤ワインを飲みながら2時間くらい本を読んだり手紙を書いたりして過ごした。時折に雨が混じるらしく、ガラスに打ち付けられた水滴にお台場の光が反射して、それはそれは美しいと思った。このまま泊まってしまいたい気分になるけど、さすがに2週間毎に無駄に外泊はよくない。というかお金がない。
帰り道、電車の中で痴漢にあった。あら、ひさしぶりだわ、と思って犯人の顔を確かめようと振り返ったら女性だった。髪が長く、金色のイヤリングが印象的な、やや乾燥肌だけどきれいな人だった。目があったらにっこりと微笑まれたので、思わず会釈をして、その後抵抗する機会を失ってしまった。まあ私もたまに良さそうな肩を見つけると無性におでこをつけたくなることもあるし、だからと言って私は見ず知らずの人の肩にいきなりおでこをつけるなんてことはしないけど、もしそれができたとして得られるであろう充足感を彼女が今味わっているんだったら、まあいいかあ、と思った。