バレンタインデー

バレンタインデーって好き。
と言っても別に片想いのアノヒトに想いを告げるとか、そんなロマンティックなんじゃないけど。
この時代、そして東京ならばいつでも製菓材料やラッピング用品って手に入るけど、私の幼い頃、山陰地方の小さな村(町!一応県庁所在地です)では手作り用のチョコの最高級品であるクーベルチュールや飾りのバイオレットやミモザやラッピング用の箱、テンパリング用のヘラや大理石のボード(あ、さすがにそれはシーズン中もなかったな、かっぱ橋の専門店から取り寄せた)なんて、バレンタインデー前くらいしか店頭に並ばなかったのです。
必然的にチョコレートを使ったお菓子はバレンタインデーシーズンにしか作ることができない。丹誠込めて作ったお菓子たちはかわいくラッピングしてあげたい。そしてそれらは友達にくばります(お菓子って作るともうそれだけで胸いっぱいよね。長丁場になると8時間くらいかかってもうへとへと。食べる気なんてとっくに失せちゃう。特に、チョコレート菓子って集中力がいるしさ)。はた目から見ると、バレンタインデー大好きな女の子みたいよね。
どっちかっていうと、職人気質なんだけど。なにしろ10ヶ月間チョコレート製菓の本を読みイメージトレーニングを重ねた成果を試すときだからね。
まあそれなりにロマンがあるといえなくもないけれど。

あんなに情熱を注いだのに、一人暮らしを始めてからは、ほとんど作らない。それはそうだ。今の私のアパートのキッチンを見たらお菓子作りをする気なんてふっ飛ぶ。ちょっとずつ集めた型は全部実家に置いてきた(ああ、さびるだろうな)。たまに実家に帰ると、作りたくもあるけれど、どうも感が鈍っている感じでイマイチ、出来が甘い。

まあ東京にいれば別のバレンタインデーの楽しみ方があります。
それはもう、有名ショコラティエのチョコレートの動向を追うこと。
今年の私の注目チョコレートはラ・メゾン・デュ・ショコラのマイコ(1粒280円!ハーゲンダッツカップより高い)。
ちなみに、マイケル・ジャクソンとは無関係。なんと生姜風味ですって。
今年はジンジャーだの唐辛子を使ったチョコが流行の兆し。各社で結構だしてます。ああ、山椒ってのもあったな。まあ、どうぞ、皆様。12粒で5000円とかいうスペシャルボックスを早々と予約なさって下さいませ。

そしてここまで書いておいてなんだけど、私、実は、あんまりチョコレートって食べないんです。食べるとしても、上質なカカオを使ったシンプルな板チョコが好き。生チョコとかいつまでも口に残ってうざい。たかが1粒のスウィーツがそんなに主張するな、と思う。
だから、本命には、いちばん好きな板チョコをあげます。いちばん安いです。