雨の音に安堵するのは

sumikko2004-11-17

今日は、とても気持ちの良い一日でした。ヴィヴィアン・タムのモチーフである龍のついたチャイナカラーの黒のシャツにアニエスの臙脂のタイトスカート、茶色のブーツ。その上にトレンチコートを羽織ればちょうどいい。湿度は低い。空は晩秋の薄い青。トレンチにはいささか爽やかすぎるわね。もう少し、襟をたてて身を縮めるくらいの気温がいい。アンニュイな方がいい。ということで今日のトレンチ指数は 85。
今聴いている音楽。

カーザ

カーザ

3年前、ほぼ毎日聴いていた坂本龍一のボサノバ。とても美しい。
タイムスリップ。
あと 9日ほどで 23歳になろうとしていた初秋の夜、一人でバーに行った。初めてのバーだったように思う。カウンターでたぶんオールドトムという甘いジンをストレートで飲みながら、バーテンダーと他愛もない話をする。あと少しで 23になるんです、という私に彼は言う。女性が一番美しいとき。
そのとき私は、なんの実感も得ず、ただ驚いて微笑んだ。ぼんやりと、そうか、一番美しいのか、と思った。 3年以上前のこと。あのときのネイルの色や、履いていた靴下、空気の匂いまで、鮮明に覚えているのに、 3年も前のことだ。
最近になってようやく分かった。たいてい、もちろん個人により程度の差はあるけど、女の子がその人生でもっとも輝くとき、その子の心はまだその美しさについていっていない。美しさだけでなく大方のことは、肉体が先。心には後でくる。そうね、たぶん雷みたいに。気づいたときには光った後。すでに大粒の雨の中。激しい雨音に満たされた薄暗い部屋で、私は暖かい布団にくるまって、何かにぶつからなければ音にならない雨粒を不思議に思う。そして、音を発する雨粒を祝福する。やがてくる、雨上がりの清々しい大気と透明な光のことを思って目を細めたりする。