完璧な秋の一日。

sumikko2004-10-30

今聴いている音楽。
本当に好きで恥ずかしいからあんまり最近は言わないことにしているのだけど、UACHARAが好きです。最近そこにキリンジが加わり、たぶんこの3人(厳密には4人)のアーティストは生涯をかけて好きだと思う。で、今日のアルバム。素晴らしい。ずっと鳥肌立ちっぱなしでした。一曲没頭して聴き入ることはあっても、アルバム1枚を通じて心酔して鑑賞するってことはそうないんだけど、これは、もう、部屋で三角座りして聴いてしまった。UAはライブの人だなあと思った。自由で伸びやか。これを聴いた後に普通のを聴くと物足りなく感じます。

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今日は歯医者のため築地へ。せっかくなのでちょっと早めにでかけ、土曜日も返上して銀座のはずれで働く仕事大好き人間を呼び出してランチ。新富町にあるフランス料理屋さんに行った。またひとつ、好きなお店が増えました。お店の名前はラブリーズドゥヴァレ*1。自由が丘にある、ラ・ビュット・ポワゼの姉妹店で、1階はカジュアルなカフェ。2階はレストランになっている。私たちは1階のカフェに入る。ランチタイムはドリンク付きのパスタかサンドイッチセットが1200円、パン、サラダ、ドリンク付きの魚か肉のセットが1500円。私は1500円のセットで北海道産子羊のローストを頼む(羊ちゃん好きだから)。これが、すごいの。とにかく、素材が素晴らしい。全く嫌みのない肉厚の羊の肉はたっぷり3枚。その肉汁で作られたソースで大切りのかぼちゃ、レンコン、小カブ、人参などの野菜が和えられている。ラム肉というのは元々脂身があんまりないけれどこれは驚くほどさっぱりとしている。お肉って上品で美味しいなあ!って思う。生き生きとしていて風味豊かな野菜は三島の農家からおくられてくるという。食べた後全く胃にもたれたりしなくて、本当に、本当に美味しかった。デザートなしで1500円ってなあ、て思う人もいるかもしれないけど、あの素材なら納得。申し訳程度にミントが添えられたアイスクリームが出てくるよりずっといいでしょ?もしデザートが食べたければ見た目もキュートなケーキたちがショーケースにずらりと並んでいるので深煎のコーヒーとともに味わうもよし(ケーキ屋さんもやってるのでお菓子も美味しいですよ)。それと、きちんとした腕をもつシェフの料理だなあと思った(失礼な言い方になってしまったごめんなさい)。当然といえば当然なのだけど、ほらカフェ飯とかって、そりゃー美味しいけど私でも作れるべ、てのがあるでしょう?そういうのじゃなくて、プロの仕事。丁寧で高度で正確。ランチタイムをはずしてもアラカルトでパスタやサラダが頼めるし、連れの頼んだサンドイッチもそれはそれは美味しそうでした。歯医者に行く楽しみがひとつ増えた。

今日は朝自然に9時頃目覚め、掃除や洗濯をして、図書館に行き、帰って新しい洋服とブーツとアクセサリーと時計と口紅をつけた。メイクがうまくいって超ご機嫌。だいぶ伸びた髪の毛は雨の日でもどうにか収拾がつく。ジンジャーの香りの冬用の香水に変え、新しい傘を持ってでかける。おいしいランチを食べ、仕事の話や最近の聴いた音楽の話や映画の話や将来の夢を話す。午後になればなるほど冷え込む秋の雨の日。じゃ、またねと言ってさっぱり別れる。こんな完璧な日があるかしら?
その後銀座と渋谷でウィンドウショッピング、本屋、HMVめぐりをしてすっかり日も暮れて帰途につく。帰り道、電車の中で歩き疲れた足を投げ出してシートに座る。色白でぽっちゃりとしてマシュマロみたいなふわふわの女の子が私の前に立っている。たぶん、22、3くらいかな。ぱちゃって私のコートに水滴が落ちる。見上げると、声を殺して、その子が泣いている。つり革で全体重を支えるようにして立っている。腕が、体全体が小刻みに震えている。後から後から溢れ出る涙は、頬を伝い顎に至り落下する。私の、新品のコートの上で弾ける。ぼんやりとその様子を眺めていたら、私はどっちが私なのか分からなくなってしまった。ものすごく、辛いことが私の身に起こったような気がした。幾度か、私もこの電車の中で泣いたことがあるよ。我を忘れて泣く、というよりもう、涙を押しとどめる努力をしないような泣き方。前者は自分の解放だけど、後者は喪失。ただ泣く以外に方法はない。一体、あなたの身の上にどんな辛いことが起こったのだろうね。それはないよね。こんな秋の雨の日に。夕暮れに。10月も終わろうとしているのに。でも、大丈夫。この線路は短いから。あなたの目指す駅にはすぐに着く。そしてお家に帰れる。誰もいない古いアパートでも、収入の半分を費やしてしまう憎いアパートだけど、そこは核シェルター。ゆっくりお風呂に入って、好きな音楽を聴いて、暖かいベッドに入ればきっと、明日か明後日か1ヶ月後には、その哀しみはアルバムに貼って眺めることができるよ、と思った。