ふかふかのバスタオルとふたつの歯ブラシと。

男女交際期間中にいちばんしあわせな瞬間って、並んで歯磨きをしているときだなあ、と、朝、ぼけぼけと歯を磨いていて思った。並んで歯磨きというのは、かなり良好な関係じゃないとあり得ない。これはセックスをするよりも難しい。並んで歯を磨いた回数はセックスをした回数よりも圧倒的に少ない。
同じく朝、ぼんやりとシャワーを浴びてバスタオルで体をばさばさと拭いていて、うちのバスタオルがすべて換えどきになっていることに気がついた。私はバスタオルの消費が激しい。多い日で一日 3枚使う。朝と夜のバスタイム、それと夏場なら帰宅直後にさっと汗を流すシャワーの後。濡れた体をお日様の匂いのするバスタオルで包むのがしあわせで、間違ってもあがる前にぎゅっと絞った小さなタオルで体の水分を拭ったりなんかしない。だから雨の日は好きだけど、バスタオルが乾かないのが困る。晴れた休日には 1 0枚ちかいバスタオルがベランダに掛けられていることがあってなんか病院みたい。換えどきのバスタオルというのはコンディションとしては最高で、吸水性は抜群だし、乾きやすい。でもたとえば恋人が泊まりに来てシャワーを浴びた後に手渡すタオルはやっぱり柔らかくて毛足が長くてちょっと水をはじくくらいのものじゃなきゃだめだと思う。いくらつきあいが長くなっても、私はがしがしのバスタオルを手渡す女ではありたくない。そしていつでもそうしたタオルは家にあるべきだと思った。色気がないというのは悩みどころで豆乳とか湯葉とかおからハンバーグとか、大豆イソフラボンを積極的に摂取しているのだけど、実は女性ホルモンと色気というのはあんまり関係ないみたい。どっちかというとふかふかのバスタオルを所有している方が、効果的だと思う。今度のお休みにはふかふかのバスタオルを買いに行こう。おそろいの歯ブラシも買いに行こう。