あれは確かに

さっきオフィスの近くの路上で道に迷っている小林君に会った。
大学のゼミで一緒だった男の子で、もう3年ぶりだ。スーツなんか着て、地下鉄の出口のところで地図を片手に途方にくれているよう。「小林君!?久しぶり。元気?」「????」。
人違いだった。でもどう考えてもあれは小林君だった。何もかもそっくりだったのです。背の高さや、骨張った手の感じとか、ちょっと猫背だし、人を見るときに首をかしげるところとか。
絶対、今何かやばい仕事をしていて、面が割れたら困るから人違いのふりをしたのだろうと思う。
優しい私はちゃんと道をおしえてあげたよ。